【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「お待たせっ!!」
私はもうすでに待ち合わせ場所にいた蓮に声をかけた。
蓮はラフに、灰色のTシャツに
ダボッとしたパンツを履いていて
凄くかっこ良かった。
「……別に待ってねえよ。」
そう言って先に歩き出してしまった蓮。
浴衣着たのに……
変だったかな………
紺地に色とりどりの花の絵が描かれている浴衣。
そして、その花と同じ髪飾り。
似合ってないのかな………
「ん。」
と、こちらを見ずに後ろに手を差し出す蓮。
私は蓮の手に自分の手を重ねた。
「似合ってるよ。ごめん。すぐに言えなくて。」
そう耳元で呟く蓮。
「……あ、ありがと……嬉しい…」
「可愛くてジッと見てられなかった。」
そう言って、一瞬私の顔を見るも、
すぐ逸らしちゃう蓮。