【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「ほら、行ってこい。
俺、ここで待ってるから。」
お兄ちゃんは私の背中に向かってそう言ってくれた。
私は、携帯に付けているキーホルダーを握りしめた。
「お兄ちゃん………待ってて。」
「うん。」
私は空港に足を踏み入れた。
空港に入れば自然と足が動いた。
蓮の姿を探しているんだろうか。
私の体はとても軽く動いた。
「蓮……っ!蓮…蓮………れーん!!!!!」
私は、力いっぱい叫んだ。
どこに居ても聞こえそうなくらい大きな声で。
「優愛っ!!」
私はその声を聞いて気が緩んだのか
足に力が入らなくなった。