【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「あ。」
私は家の前で立ち止まった。
「あ、優愛。」
「お兄ちゃん……」
立ち止まったのは、久しぶりに家に来た、
お兄ちゃんと出くわしたから。
「お前何やってんだよ!馬鹿なのか!?風邪引くだろ!」
そう言って私に着ていた薄手のジャケットを
肩にかけてくれた。
「とにかく中には入れ。」
そう言って、私を家の中に誘導してくれた。
「父さん!タオル取って!」
お兄ちゃんがそう叫ぶとお父さんがリビングから出てきた。
大きなバスタオルを持って。
「悟(さとる)おかえり。優愛どうしたんだよ。」
お父さんも心配そうに私を見つめていた。