【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
私がそう蓮の名前を呼ぶと蓮は
濡れた髪の毛をかきあげながらこちらを振り返ってくれた。
そんな蓮に近づき、
私はカバンに入れていたタオルを渡した。
「これ使って。」
「うん。ありがとな。」
そう言いながら私からタオルを受け取り、
笑ってくれた。
さっきまで隣にいた池田くんの姿がもう無かった。
「………」
「優愛?どうした?」
「え。ううん。何にもないよ!」
「気になるか?俺と池田がびしょ濡れだった理由。」
そう蓮に言われ、うんと頷いた。
「ははっ大丈夫だよ。喧嘩してたわけじゃねえから。」
そう笑って私の手を握り歩き始めた蓮。
蓮の手冷たい…………
少し震えているようだった。
寒いんじゃないのかな……?