ミスティック


見事に崩れた廊下はぽっかりと穴が開いたみたいだった。



蓮村はその穴を、ぽっかりと見つめていた。



蓮村「…なあ、一体どうやったんだ?」


峰坂「簡単だ、渡り廊下だよ。最近、旧校舎と繋ぐために工事をしていたらしいが、渡り廊下は造りはもろい。そんな造りで壁壊しながらあの野獣が通ったら、潰れるに決まってるだろ。」

蓮村「なるほどな…。」




俺は下を覗き込んだ。

野獣はまだ下で無傷で生きていた。




蓮村「あの高さから落ちて、無傷かよ…。」



峰坂「壁にぶつかりながら走って血が出ないやつが簡単に死ぬか?」


蓮村「そう…だよな…。」



俺は旧校舎の階段に向かった。



峰坂「下に降りるぞ。」



蓮村「え!?」



峰坂「聞こえなかったか。下に降りるぞ。」


蓮村「な、何でだよ。後はリカ様に任せとけば…」


峰坂「そう言うわけにもいかない。あいつは俺を狙っているんだ。あのまま運動場に向かう訳が無い。と言う事は、また追われる訳だ。」



蓮村「…また?」

峰坂「そう、また。」



蓮村「…はぁ…」
峰坂「…はぁ…」




溜め息をつく俺達。


足が進まないのだが、無理矢理旧校舎の階段を降りて行った。
< 36 / 48 >

この作品をシェア

pagetop