不変の想いを君に…
「総大将、もう大丈夫なんですか!?」
夜、心配そうに庭に集まった百鬼たちに笑った桜李はすっかり回復しており準備万端だ
「おう、心配かけて悪いな……行くぞ」
今度は冥迷が仕掛けて来るはず。そんな確信があり百鬼を引き連れて飛び上がる。昨日と近い場所を警戒しているとまた無数の妖怪を従えて案の定現れた
あの男とは思えない口調、微笑み…何度見ても不気味
「こいつらは任せて総大将は冥迷を!」
百鬼たちにこの場は任せて桜李は一人冥迷の元へ向かった。向かい合うと自分たちとは異質の妖気に疑問を感じる。普通、強い者ほどじわじわとその者を包み周りが圧倒される。だが冥迷は違って、鋭く突き刺してくるような…
「ふーん、やっぱり体力も妖気も別格なのね」
完全回復している桜李を驚いたような表情を浮かべたと思えばすぐににやりと歪める
まるでそうでなくては楽しめないという表情。刀を抜いて構えると突然仕掛けて来た
素早いが攻撃力が低い。隙が生じれば見逃さず紫の斬撃が飛んでくる
「にしても色男……十六夜に似てる。憎たらしいわね」
「どういう意味だ」
十六夜。突然出てきた母親の名前に警戒心が募る。十六夜を知る妖怪がいることは当たり前だがただ知っているようには思えない
「うふふ、別に…ただ知りたいのならわたしを倒してみなさい、よ!」
飛んでくる斬撃をかわしながら考える。攻撃力が低いのだから素早ささえ抑えれば勝てる
眼下に亀裂の入った崖…
「やってみるか」