不変の想いを君に…
「…十六夜は?」
「先に帰ったよ」
それを聞いた瞬間、天堂は走り出した。本家に帰って十六夜の姿を探すがどこにもない
「お袋は?」
「…」
嫌な予感がした。今度は本家を飛び出して十六夜が行きそうな場所を片っ端から当てって行った
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「寒くなってきましたねぇ…」
朔と刹那の墓の前。墓参りにいつ行くかなど決まりは無い。少ないより多い方がいいだろう、と頻繁に訪れていた
「頭痛と耳鳴りがしてて、風邪なのでしょうか?…どうしてか不安なの………っ!」
今までに無いくらいの激しい頭痛と耳鳴り。頭の中で何かが鳴っているようだ
……鈴?鈴の音が聞こえる
墓標に手を添えて踞るとだんだん聞こえなくなり頭痛と耳鳴りも治まってきた
しばらく休んで帰ろうとした時背後に気配が…振り返ると女が立っていた
長い黒髪、赤く少し吊り上がった目、真っ赤な唇。黄色い帯に重たそうな赤い着物の裾は長く地面に余っている
そして手に持っているのはたくさん連なった神楽鈴
女が歩く度に、しゃんしゃんと音がする。この音……この音が頭の中で響いていたのか
「十六夜…」
誰かは分からないが危険だ。この音が頭の中で響いていたことは間違いない
「どなた、ですか」
「……鈴姫」
鈴姫
聞いたことが無い。帰ろうと背を向けた途端に頭の中の大きさとは桁違いな鈴の音が衝撃波のように伝わり、周りの木々も破壊される
その音に意識を失いそうになりながらも結界で朔と刹那の墓を守る。刹那の墓標に触れていると鈴の音が小さくなってくる
まただ…
刹那の墓標に触れているといつも症状が消えていくし、心も落ち着いてくる