不変の想いを君に…
「十六夜!」
「お袋!」
天堂と桜李の声。姿を確認して安心した十六夜はふっとそこで意識が途切れた。後ろに倒れていく十六夜を抱き寄せて座らせる天堂と二人を後ろに庇って刀を構える桜李
「てめぇ、三獄鬼の一人か…」
「…」
「答えやがれ!」
斬撃を放つと鈴に命中し数が減った鈴の音が小さくなった。それに鈴姫は舌打ちして姿を消した
気配は…無い。逃げられたか
「十六夜、しっかりしろ!」
「親父、急いで帰るぞ!」
ぐったりしている十六夜は天堂や桜李の呼び掛けに目を開けることは無かった
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「十六夜さん!?」
「気ぃ失ってるだけだ…退いてくれ」
十六夜を抱え本家に帰り騒然とする百鬼や琉威たちを通り過ぎて自室へ向かう。布団を敷いて寝かすと十六夜の呼吸がだんだん落ち着いてきた
「女、か」
「三獄鬼の一人の可能性が高い……冥迷と同じような妖気だったしな」
ついに仕掛けてきたか
十六夜が倒れてしまったが翔炎や十史郎を呼んでいて良かった。これでいつでも向かい打てる
「お袋が目ぇ覚ますまでは離れない方がいいな……琉威たちにはしばらく来ないでくれって伝える」
天堂を十六夜の傍に残して部屋を出る
「琉威」
「桜李さん、十六夜さんは!?」
「まだ目ぇ覚ませねぇ…始まったみたいだからしばらくは来ない方がいい」
顔を伏せた琉威たちに悪ぃ、忙しいんだと告げて去る桜李と何も出来ないことへの歯痒さに苦しむ琉威たち
悔しいが人間に入り込める領域では無い
無力さに唇を噛みしめた