不変の想いを君に…
「桜李様…」
「…蓮華」
「十六夜様は…」
「まだだ…親父がついてる。隣、来いよ」
百鬼夜行が終わり、縁側に座っていると蓮華が来て隣を促す。恐る恐る座ったが気まずい…
何も話さず時間が過ぎていく
「蓮華」
「は、ははいっ」
何十分もの沈黙の後、途端に呼ばれ動揺し声が上擦ってしまった。恥ずかしくて俯いていたが何も反応が無い。隣を見ると組んでいる指が少し震えていた
「…こんなに怖かったことねぇ」
十六夜が消息不明になった時もこんなに恐怖を感じなかった。絶対無事だと確信があったから
この恐怖はあの時と同じ
……自分を産んでくれた時の話を聞いた時
「俺がしっかりしねぇとお袋が…お袋だけじゃねぇ、皆も…」
「桜李様…」
「お袋が苦しんでる姿を初めて直に見た…あん時の姿が頭から離れねぇ。目ぇ閉じればお袋のあの姿が浮かぶ」
「…」
「俺を産むときには今回以上に苦しくて死ぬ寸前だったって聞いた……だからもう、これ以上巻き込みたくねぇ」
「桜李様」
凛とした蓮華の声。顔をあげると目は赤く濡れている。桜李のその目を白い手拭いで優しく拭ってやり、桜李の右手に両手を添える