不変の想いを君に…
五
――――――――――――――――
――――――――――――――
―――――――――――
「ここは…?」
白い霧、どこまでも続く草原、澄んでいる空気。感じたことの無い世界にただ佇んでいた
『十六夜…』
聞き覚えのある懐かしい声
「……刹那」
狂気じみた笑みではなく優しい微笑み。あの頃とは違う表情にあぁ、やはり最期の言葉は本当なんだと分かる
「久しぶりですね」
『生憎わたしはそうでも無いがな』
「え?」
『よく墓に来てくれるだろう…いつでもそなたを見ている』
そうなんだと笑うと刹那は感極まったように十六夜を掻き抱いた。刹那は死んだはずなのに体温も感触も全て伝わってくる
だが…心音だけは聞こえない
『…その度に、そなたに触れたいと思っていた』
声色に十六夜も何かが込み上げあてきて刹那の背に手を回すとさらに力を強めて抱き締めてきた