不変の想いを君に…
「まー、……十六夜が愛してる男が二人居るってことだ」
からっと笑った獅蛇に唖然とする五人
当然だろう、お互い想い合っていて天堂なんかは特に想いが強い
だから十六夜の愛している男が二人居るなんて言われても信じることは出来ないし信じたくない
「え!女神あんなにおしとやかなのに浮気か?」
「馬鹿、餓鬼にゃ分かんねぇ話だよ」
「あ?お前だって恋したこと――ぶっ」
涼がその先を紡ぐ前に腹でも頭でも無く顔面を殴った獅蛇は鼻で笑って今度こそ飛び去った
確かに好きな男が居たことや恋愛経験があるかと言われてもない。だが天堂や十六夜、刹那を見ていると恋愛経験、理屈抜きで分かるものだ
ただ一つ…愛しいという感情があるということに理屈が通用する訳が無い
取り残されて訳が分からず戸惑うばかりだが涼だけは考える余裕は無く赤くなった顔を押さえて悶え苦しんでいる
「あたしにはよく分からないけどやっぱり大人の話だね…でもっ、あたしは晴樹一筋だから!」
「分かってるよ」
十六夜が浮気なんてしないと分かっているが恋愛経験の少ない、というか無いに等しい者には大人の事情などやはり分からない
ただ…浮気なんて軽い一言で済ませれることではないのかもしれないとだけは分かった
この中で一番大人に近い二人がいちゃいちゃするのを餓鬼と言われてあんな痛い思いをした涼は恨めしく二人を睨んでいた