不変の想いを君に…




「ぎゃー!ってぇな!」




手をぶんぶん振り回されたせいで地面に転がったまろちゃん天堂だが立ち上がって十六夜を背に守りながら踏ん張っていると、痛みに顔をしかめた男は舌打ちをして去って行った



(ちっ…まぁた汚れちまったわ)



身体をぶるぶるしたり、座って後ろ足でがしがし耳を掻いていると



「まろちゃん…」


(お?)




抱き上げられて十六夜を見ると悲しそうな顔をしていて何か間違ったか、と心配しているとそっと前足を取った




見てみると白い前足が赤く滲んでいた。叩きつけられた時に地面で擦れて血が出てしまったらしい




「あらあら、この子怪我してるじゃないかい。ちょっと待ってておくれ」




主人は団子の乗った盆を椅子に置いて入って行き、貝殻と包帯を手に持って出て来た





「この薬を塗っておやり」 


「ありがとうございます」



笑って受け取り、貝殻の蓋を開けると軟膏が入っていた。傷口の砂を払い、人差し指に少量とり、傷口に塗る




「きゃんっ」
(のわー!滲みるー!)




十六夜の膝の上でもがくまろちゃん天堂を優しく宥めながら包帯を巻く









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