不変の想いを君に…
「失礼します。桜李様、お食事持って来ました。お身体はどうですか?」
昼餉は十六夜に心配かけないように自室で摂りたいと言ったら蓮華が持って来てくれた。何から何までしてもらって申し訳ない、という思いがある
「おぉ、やっぱり回復力だけは速いな。白は?………って、何だよ」
ありがとなと笑ったのも束の間、外からこちらを覗いていたのはもちろん天堂
口に手を当ててにやにやしているのは気のせいでは無いだろう
「十六夜様が影狼ちゃんを紹介すると仲良くなって遊んでます。桜李様が床に臥せていることは知りません」
蓮華に続いて入って来た天堂はやっぱりにやにやしていて気分を害されるだけだ。どうせ怪我したのをからかいに来たのだろうと思っていた
「今日の百鬼夜行は?」
「もちろんやる。こんくらいで休んでられるかっての」
さすがワシの子、と頭をぐしゃぐしゃ撫でていると叩かれてしまった。昔は大人しくされるがままだったのに
まぁ、娘にされるよりはましか。十六夜そっくりな女にそんなことをされた日には立ち直れない
「桜李様、口開けてください」
お粥を桜李の口元に運んでいる蓮華は恥ずかしがる様子は無くただ滋養のつく物を食べさせようと必死だった
「…自分で食えるからいい」
今はあまり食べたい気分ではないのだ。なぜなら昨日の奴が気になるし、何より天堂がにやにやしているから
「ワシに遠慮せんでいいぞ?」
天堂の言葉を聞いて初めて頬を染めた蓮華。桜李は食べないと引き下がらないと観念してお粥を口に含んだ…ますます赤くなった蓮華を不思議に思いながらもまだにやにやしている天堂に口を開く
「お袋には言わないでくれ」
「あ?」
「ちゃんと全部食べる。だから怪我も大したことないって伝えてくれ。実際ほとんど治ってるから」