婚カチュ。
「何度も確認してますけど、二ノ宮さんは本当に結婚したいんですか?」
あきれたように言われ、身を乗り出した。
「したいに決まってます!」
涼しげな目が疑わしそうに細まる。
「じゃあ希望条件の幅を広げてください。出会いの機会自体が得られませんよ」
「いえ、そこは譲れません」
「では杉下さんのことを前向きに検討してください。いまのところ、あなたの条件を満たしているのは彼だけです」
「ええと、でも」
しばらく渋っていると、広瀬さんがぼそっとつぶやいた。
「……ハゲくらい愛せよ」