聖なる夜の願いごと
エレナがこの手紙をシルバに届けたいという一言があれば十分であり、自分たちがその意図まで詮索する必要はない。
デュークも同じ考えだったのか、詮索することは止め、快く返事をして執務室に向かった。
けれど、もしデュークの言うようにエレナがシルバをクリスマスパーティーに誘いたくてこの手紙を届けようとしていたなら。
それはとても微笑ましく喜ばしいことだ。
シルバにとっても、いつも控えめなエレナが自分を誘おうとしてくれたと知れば書類の山など放って出かけるだろう。
それこそ無表情の下に満面の笑みを浮かべながら。
ウィルは誰もいない廊下でひとり、シルバの顔を思い浮かべながらクスリと笑った。