聖なる夜の願いごと
「え……」
シルバから差し出された招待状を前にエレナは戸惑う。
エレナは視線を招待状に向けるが、その招待状は確かに封が切られていた。
「あの…シルバは?」
「俺はいいよ」
シルバはこの時、気づいていなかった。
エレナはパーティーに行きたいのではなく、シルバと二人でクリスマスを過ごしたいということを。
「もう俺がいなくても一人で行けるだろ。ブラントン夫人がついているなら俺も安心できる」
「はい…」
快くパーティーに出してくれようとしているシルバにエレナは頷くことしかできなかった。
そして同時に、クリスマスでもシルバはやっぱり忙しいのだと無理やり納得させた。
「じゃぁ明日は行ってきますね」
この時のエレナの切なさの混じった笑顔を後悔するまであと数時間。
シルバはそんなことになるとは露ほども知らず、眠りについた。