聖なる夜の願いごと
お互い何か変だと思いながら、黙り込む。
求めている答えが返ってこず、どうしたものかと途方に暮れていたニーナはふと机の上の招待状を見つける。
封は開けられているが、少し不安に思ってニーナは招待状を指さす。
「シルバ様、その招待状よく読まれましたか?」
「よく読むも何もただのクリスマスパーティーの招待状だろう」
「やっぱり……」
ニーナの嫌な予感は当たっていた。
「もう一度、よく読んでみてください」
声を落としてそういったニーナにシルバの不安が煽られる。
招待状を手に取り、二つ折りの厚紙を開き、書かれている文字に目を通すシルバ。
そして、書かれていた内容に目を見開く。
書かれている内容は確かにクリスマスパーティーへの招待を知らせるものだった。
しかし、オベール公爵家のクリスマスパーティーの招待状にはある言葉が添えられていた。
“聖なる夜を愛する人たちと”
クリスマスには特段珍しくもない言い回しだが、その下を見てみると納得がいった。
シルバはそのメッセージを読み終え、眉を寄せて後悔した。
不意に浮かぶのは昨夜のエレナの表情。
嬉しそうな顔から一転、戸惑ったような切ない表情を思い出して胸がざわつく。
今思えばパーティーへの出席について許可を出したとき、少し様子がおかしかった。
まさか…とじわじわ嫌な予感が確信に変わろうとしている最中、ニーナから追い打ちをかけるような真実が告げられる。