聖なる夜の願いごと
じんじんと痛む足首は立ち上がるにはまだ早い。
エレナは足首を抑え、座り込んだままエドを見上げる。
「エド、先に戻ってて」
「え?でもお姉ちゃんは?」
「私は梯子を戻して、これをモミの木に結んでから戻るわ」
エレナは握りしめていたリボンをエドに見せる。
しかし、エドは不安げな瞳でエレナを見つめて黙り込む。
「大丈夫。帰り道は覚えてるから」
念を押してもなお、エドは動こうとはしなかった。
エレナは溜息をひとつ吐き、不安げなエドの瞳を見据えた。
「リボンを結んだら戻るって約束したのは誰かしら?」
意地悪な笑みを浮かべてそういうと、エドは諦めたように息を吐く。
「分かった」
「良い子ね。きっとご両親も早く帰ってくるわ」
エレナはエドの頭を撫で、微笑む。
「気を付けて帰ってきてね」
「ありがとう」
エレナは自分を想う労いの言葉に感謝しながらエドを見送った。