聖なる夜の願いごと
「やっと見つけた…“雪の妖精”さん」
掠れた声がエレナの耳に届いたかと思えば、次の瞬間後ろから抱きしめられる。
恐る恐るエレナが後ろを振り向くと、そこには愛する者の姿があった。
「うそ……」
ホールにいるはずのシルバを目の前にして自分の目を疑うエレナ。
目を丸くして呆然とするエレナにシルバは眉尻を下げて笑う。
「まるで幽霊でも見る様な目だな」
「シルバっ…」
柔らかく微笑むシルバにエレナはこみ上げた感情のまま抱き付く。
抱き付いたまま黙り込み、僅かに震えるエレナをもう笑うシルバではなかった。
「ったく…お前は俺の心臓を止める気か」
そういってシルバはすっかり冷たくなったエレナの体を抱きしめる。
エレナは抱きしめられる力の強さでシルバがどれだけ心配していたかが分かった。
「パーティーはホールでやっているはずだが?なんでこんなところにいるんだ」
「いろいろあって…シルバこそなんでここに?……迎えに来てくれたの?」
「他にどんな理由が?」
間髪入れずに帰ってきたシルバの答えにエレナははにかむ様に顔を赤くした。
「ううん、迎えに来てくれたんならいいの。ついででも嬉しいから」
「ついでなわけないだろ。マリアンヌは屋敷に入る前に出くわしただけだ」
「そうだったの」
エレナはシルバを信じていたものの目を丸くして驚く。