聖なる夜の願いごと


「いつも隣にいてくれるシルバがいなかったから少し寂しかっただけ」

長時間外気にさらされた白い肌にほんのり赤みがさし、首元まで赤くなるエレナ。

シルバはこみ上げる愛おしさのままに、真っ赤になったエレナの顎に手を添えて上を向かせる。



「俺も寂しかった」

エレナだけに囁かれる甘い言葉と耳をくすぐる低い声。

シルバはぱくぱくと何か言いたげなエレナの口に人差し指をあて、代わりに自分の唇をあてた。

エレナはなすがままにシルバに抱き寄せられ、のぼせ上がる。

そして、そこそこ長い口づけの後、シルバは満足気に唇をはなした。




「城にもモミの木を用意させたから、帰ってリボンを結ぼう」

「は、はい」

まるで何もなかったかのように手を伸ばしたシルバに、エレナは上ずった声で答える。

勢いで答えたはいいものの、エレナはあることを忘れていた。




「あの…」

手を差し出したままのシルバにおずおずと声をかけるエレナ。



「どうした?」

「ホールまで肩を貸してほしい…です」

訝しげな表情をしたシルバはエレナの申し出を聞いて、周りを見る。

そして腐って一段抜け落ちた梯子を見て何となく察した。




「梯子から落ちた時に足をくじいちゃって」

「笑いごとか」

シルバの溜息がぐさりと胸に突き刺さる。




(きっと間抜けだと思ってるんだろうな)


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