@恋。
それは突然だった。


いつも通りパパのお見舞いに病院へ行った時のこと。

お医者さんの口から出た言葉に、心が一瞬で凍りつく。


パパの命が、残りわずかだと告げられた。

頭が真っ白になった。
穏やかだった日々が、終わりを告げた瞬間。


ああ…そうなんだ。
ほんとは、ほんとはね…わかってたんだ。

去年の夏、乗り越えたのが奇跡だから。

あの時だって、いつどうなってもおかしくないと言われていた。

あの時…ここを乗り越えたとしても、普通の人のように長くは生きられないと、お医者さんがそう言ってたよね…。

忘れていたわけではない。
ちゃんと覚えていた。
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