@恋。
17
文化祭。


夏休み明けすぐの行事。
また、この季節がやって来た。

今日は光くんのステージがある。


「紗枝!早くしないと前で見れなくなっちゃう!」

「う、うんっ!」

私達は体育館へと急いだ。


なんとか五列目の真ん中の席をゲット。


「ふぅー。ここならよく見える。よかったね!」

「うん!」

去年は体育館の隅っこで光くんのステージを見た。


今年はこんな近くで見ることができるんだね。


…ドキドキしてきた。

開演時間が近付くにつれて、どんどん人が集まる。

他校の女の子の姿も沢山。


やっぱり…凄い人気だな。

嬉しいことだけど、ちょっぴり寂しい。

だって…いつもよりもっともっと、光くんを遠く感じてしまうから。


きっと光くんは、いつか遠くへ行ってしまう。

本当に手の届かない人になってしまう気がする。


私は、光くんの夢を心から応援してる。

だけど、寂しい。


なんて勝手なんだろうね…。
なんてワガママなのだろう。


そんなことを思っているうちに、あっという間に開演時間は訪れた。
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