【企画】魔法が醒めるとき
――♪
携帯の着信音が鳴り響く。
あたしの、だ。
はぁーっと重い息を吐きながら、ベッドの下にある鞄へと手を伸ばした。
確認しなくて誰からかは予想がつく。
開いた携帯には“自宅”の二文字。
マナーモードに切り替え、パチンと半分に折った携帯を鞄に入れようとすると
「家から?」
背後から言われた言葉に、苦笑いを零し振り返った。
「そか。最近、帰るの遅くなってるからな」
「そうだけど……。でも、あたし、もう24なのに。本当、過保護過ぎるんだよっ」
「心配してんだろ。変なのに引っかかってないかって。……例えば俺みたいな?」
クスッと笑った光は起き上がり、さっき脱いだシャツを着始めた。