【企画】魔法が醒めるとき
「光は……」
「え?」
「光は変なのじゃないもんっ!」
あたしは、何をムキになってるんだろう。
どうして泣きそうになってるんだろう。
鼻の奥がツーンとして痛い。
「あんがとな。ほら、泣くなって」
ポンポンと頭を撫でられ、胸の奥が痛くなった。
「泣いてない」
「はいはい」
「泣いてないってばっ」
「しゃねーなぁ」
その瞬間、光の香りでいっぱいになったあたしはギュッと抱きしめられていた。
「だから泣いてないって」
「うん。俺がこうしたかっただけ」
やっぱり光はセコイんだ。
ムキになっていたあたしを、たったこれだけで黙らせてしまう。