【企画】魔法が醒めるとき


本当は今にも涙が零れてしまいそうだった。


図星だったんだ。


だけど変なプライドが邪魔して、素直になれなかった。

それを光はわかってたのかな。


抱きしめられた体が熱く疼く。


離れたくない。
ただ、そう感じた。


このままで居たい。
ただ、そう願った。


時が止まれば良いのに。
ただ、そう思った。


もっともっともっと。
欲張りになるあたしは、光の全てが欲しくなった。


好き。
気持ちが溢れ出そうになる。


人を好きになると……こんな事を思うようになるんだね。



お願い、このまま時を止めて――……。



そんな馬鹿げた事を。


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