【企画】魔法が醒めるとき
「……月美?」
窓の外に広がる朝もやを眺めながら、散らばった服を拾っていると寝ぼけた声が聞こえてきた。
「おはよう、光」
「ん……はよ」
「まだ寝ぼけてる?」
クスクス笑いながらベッドに腰を下ろし、光の唇にキスをした。
「んー。……帰るのか?」
服を着たあたしに気がつくと、自分の服を探し出した。
「光は、まだ寝てて。一人で帰れるから」
「でも……」
「今一緒に出たらバレちゃうよ。だから大丈夫」
「そか」
服を着るあたしへの視線が痛い。
それに気付かないようにボタンを閉めるけど、手が震えてしまう。
「光、広告代理店で働いてたんじゃなかったんだね」
動揺しているあたしに気付かれないように、話し始めた。
「あぁ、昔働いてた」
「そうなんだ」
「うん。今は父の仕事を手伝ってる」
「みたいだね」
カーデガンを拾い、袖を通す。