銀髪姫と不良幹部
「史音?どうした?」


そう、ふわっと匂ったあの香りは史音のもの。


私が昔、史音にあげた香水。


まだ使ってたんだな…。


それにしても返事がねぇな。


「史音?」


俯いていた顔を上げる。


その時、史音の唇が目に入った。


そ、そうだった!


史音にキス…されたんだった…。


うわー!さっきまで忘れてたのに、何で今思い出すかな⁉︎


史音の顔が見れねぇじゃん!!


「…依亜、大丈夫だ」


「っ…」


大丈夫?


本当に大丈夫なのか?


「依亜は弱くない。涙が出るのは人間だから。依亜は強いよ」


そうだった。


人は涙を流し、また前へと進もうとする。


私は忘れていた…。


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