銀髪姫と不良幹部
「それでも依亜はきた」


「っ…」


確かに私は噂を聞いた。


まるで聞くのが当たり前のように。


私はその場にいたんだ。


本当、怖いくらいだけどさ。


でも、私はよかったと思っている。



「もし死んでもそれまでの運命ってこと」


「お前はそれで良かったのか…っ?」


まだ16歳なんだぞ?


死んでたら…将来も…未来もなくなってたんだぞ?


それでも運命だと…お前は言うのか?


お前が…それを言うのか?


「…ああ、だってもう過ぎたことだしな」


そうだった…。


もう〝過去〟なんだ。


今史音はここにいて、ちゃんと生きている。


また会えている。


今さら何か言うのは間違っている。


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