RUN for YOU
そして先輩は続けた。

『あなたは、あたしの努力なんて知らないでしょう??
あたしがどれだけ頑張ってきたか。
天才的な才能のあるあなたにはわからないわよね!?』

『……辞退、してよ……。
あなたには、まだ未来があるでしょう??』


そう先輩は言ってきた。

でも、あたしはすぐに答えた。


『それはできません』

先輩は顔を上げなかった。

『あたしが掴んだ、全国大会への切符です。
簡単に人に渡すわけにはいかないんです。
だから、諦めてください』

あたしはこう続けた。


『そう、わかったわ』

それだけ言って、先輩は姿を消した。







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