RUN for YOU
でも、これがあたしをどん底まで突き落とす出来事だった。


1ヶ月後。



『パァァン……!』



あたしのお母さんが、銃弾に倒れた。



なにもかも、分からなくなった。

ただただ、目の前の光景が信じられなかった。

涙すら、出なかった。


やっと現実だとわかったのは、お母さんが真っ白なベッドで眠っていたときだった。

ただお昼寝をしているだけのような、すごく優しい表情だった。

でも、その瞳はもう二度と開かない。


そう思った瞬間、あたしの瞳から涙がこぼれた。

声をあげて、泣き続けた。


優しくて、料理が上手で、あったかくて……。

あたしの1番の目標だったお母さんの死。

あたしにとって、大好きな陸上が出来ない事より、悲しいことだった。









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