RUN for YOU
「新人戦の日、1人走れなくなったって聞いたとき、今しかないって思った。これが、おまえを再スタートさせる最後のチャンスだって。新人戦の前に、俺の母さんとおまえのお母さんのことは聞いてたんだ。おまえが俺の母さんから聞いたこと、だいたい俺も聞いてた。あの後のリレー、おまえほんとにかっこよかった。あの輝きと笑顔が、おまえに戻ってたから」


少し、涙が出てきた。

耐えられなかった。


「おまえの走る姿は、俺に夢を与えてくれた。おまえの存在がなかったら、俺は今走っていなかったかもしれない。日高裕斗は、いなかったかもしれない。おまえには本当に、感謝してる」


駅の前で立ち止まった裕斗先輩。

あたしの正面に立って、あたしに上を向かせた。















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