アイサツはビンタ!
世の中は実に広い。

土佐犬をチワワと勘違いする人間はいなくても、土佐犬に噛み付かれて、逆に噛み付き返す人間は存在したのである。






お嬢は俺の頭をガシッ!と鷲掴みにしたかと思うと、強引に俺の顔を自分の方に向けさせ。

「無視すんな!!」





ばっちーーーーーんっっ!!!!と。





それはそれは、スナップの効いた平手打ちを、俺の左頬に叩き込んだのである。





「…………っ……!」

チカチカッ、と。

目の前が白く点滅する。

確実に一瞬、意識が飛んだ。

次に意識を取り戻した時に俺が見たものは。

唖然として俺に注目するクラスメイトと宇多ティー。

廊下まで静まり返った沈黙の空間。

爆笑する宗方。

そして。

「……んふ~っ……!」

満足そうに鼻息を噴き出す、仁王立ちのお嬢の姿だった。



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