アイサツはビンタ!
「んなっ」

流石にこれは俺もキレる。

「んなにすんだテメェッ!!」

「何よ!無視するから悪いんでしょっ!!」

お嬢は全く退く気がない。

コイツ、人の頬はたいといて詫びの一つもなしか!

「何で俺がお前のお守りしてやらにゃならんのだ!?」

「大体私がせっかく話しかけてあげてんのに返答の一つもなしとはどういう事よ!?」

「誰が話しかけてくれなんて…」

「黙れっ!!」

言いかけたところで、お嬢のフルスイング第二弾!!

平手打ちは俺の右頬に寸分たがわずヒットし、俺はその威力に、後ろの席の宗方の机に突っ伏す形となってしまった。

「……卓也君大丈夫~?」

全然心配そうにない声で、宗方が言う。

「……」

俺は机を、パンパンパン、と三回叩く。

覚えておくといい。

格闘技の試合で床や相手の体を三回軽く叩くのは、タップという。

ギブアップの意思表示だ。

すぐに宗方がお嬢の右手をつかんで上げ、高らかに宣言する。

「ウィナー、お嬢!!」

俺の脳内で、ゴングが鳴り響く。

…ホームルームは、とうの昔に終了していた。



< 18 / 75 >

この作品をシェア

pagetop