アイサツはビンタ!
でもね、と。

宗方は記憶を辿るように話し始める。

「お嬢があそこまでするのって珍しいんだよ?」

「ケッ」

俺は吐き捨てるように言う。

「俺だってあの女があんなにキョーボーだって知ってりゃ、あそこまでされる前に…」

「そうじゃなくて」

宗方は俺を見てニコッと笑った。

「お嬢は普通、無視されたりしたら、二度とその相手には話しかけたりしないの。もし今日みたいに手を上げたとしたら、もうその相手とは一切口をきかなくなるもの」

「……」

へぇ…そうなのか。

お嬢の事だ。

ぶん殴って絶対服従させるんだと思っていたが。

「喧嘩してまで卓也君に構ってもらいたかったんだよ。きっと」

「そりゃ気に入られてるんだな、よかったじゃんか、小田桐」

宗方と羽山が無責任な事を言う。

憶測でそんな事言われてもなー。

俺は腕を組む。

「だけど、俺、お嬢に気に入られるような事してないぞ?」

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