アイサツはビンタ!
とりあえずほんとうに親しい、と呼べる顔見知りはその二人だけのようだった。

友人と同じクラスになれた喜びを分かち合う声で騒がしい教室。

そこへ。

「よし、みんな席につけー」

我がクラスの担任殿が入ってきた。

宇多教諭。

生徒の間では、宇多ティーチャー、略して宇多ティーで通っている。

25歳のまだまだ若手教師だ。

宇多ティーは無闇ににその爽やかな笑顔を振りまきながら、熱っぽく「この一年、このクラスでいい思い出を作ろう!」などと語っている。

まぁ、八割方の生徒の耳には、右から左だったと思うが。

俺も例外なく欠伸をしながら宇多ティーの話を右から左に流し、そろそろ退屈してきたのであからさまに後ろを向いて、宗方と話でもしようかと思っていたところで。

「お」

チャイムが鳴った。

まだ一学期も始まったばかり。

今日のところはこれにて終了だ。

まだ話し足りなげな宇多ティーには目もくれず、次々とクラスメイト達は教室から出て行く。

仕方なく教壇から降りる宇多ティー。

哀愁が漂っている。

「ねー卓也君、これからどうするのー?」

宗方が後ろから声をかけてきた。

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