アイサツはビンタ!
仕方ないのでお嬢に背を向ける。

ヒリヒリする頬を押さえながら、俺はそのままお嬢に声をかける。

「羽山と宗方は?」

「知らないよ?」

あのまま浴びせ合いがエスカレートして、どこか行ってしまったらしい。

「もしかしたらそのまま帰っちゃったかもなぁ」

「かもねー」

…そう言ったきり。

俺とお嬢の会話は途切れてしまった。

「……」

「……」

何となく気まずい。

普段、お嬢と話してて会話が途切れる事なんてなかったのに。

何で今日は途切れるんだろうと思って、ふと、今までは側に宗方や羽山がいたんだと気がついた。

俺とお嬢。

完全に二人きりになったのは、これが初めてかもしれない。

…二人きり。

その事実が、急に意識させた。

「……」

どうも意識しているのは俺だけではないらしい。

お嬢も、教室に二人しかいないという事実に妙にソワソワしているようだった。

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