アイサツはビンタ!
そろそろ、濡れていたシャツも乾く頃だろう。

「もう少し後ろ向いててよ?ブラウス着るから」

お嬢の声に、俺は返事する。

…後ろを向いたまま待っていると、衣擦れの音。

お嬢がブラウスを着ているらしい。

なんか、緊張するな。

自分と同じ部屋で、お嬢が服脱いだり着たりしているなんて…。

そんな事を考えていると。

「あのさ」

お嬢が、ブラウスのボタンを留める手を休めて話しかけてきた。

「私、毎日卓也君の事平手打ちしたり、首絞めたりしてるけど…別に嫌ってる訳じゃないから」

「お…おう…」

何で今更そんな事言うんだろう、なんて思いながら、俺はお嬢の言葉を聞いている。

…お嬢は尚も続ける。

「ゆきちゃんから聞いたと思うけど…私が叩いたり首絞めたりするのって、スキンシップだから…私、嫌いな人にはああいう事しないから…」

ん?

ちょっと待て。

俺は心臓の鼓動が早くなっていくのを感じる。

その会話の流れって、なんかまずくねぇか?

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