アイサツはビンタ!
何とか停学、退学の類の危機は脱した。

だが生徒間での噂は、既に俺達の手ではどうしようもない所まで発展していた。

『小田桐が平井の制服脱がせてた』

『逆だ、平井が小田桐の制服をひん剥いてた』

『既に全裸でくんずほぐれつ』

『小田桐が縛られてシバカレてた』

『平井がローソクまで持っていた』

…教室でそこまでする奴がいるのなら、俺がお目にかかりたい。

まぁ、要するに、だ。

結局、みんな自分の言いたい事しか言わないし、考えたい事しか考えないのである。

事実はどうあれ、その方が楽しいので、そういう事にされているのである。

しかし、噂の張本人としては勘弁願いたい話だ。

俺は休憩の度にクラスメイトに囲まれる。

「いや、小田桐、気にすんな」

「そうそう、愛の形は人それぞれなんだ」

「愛って言うか、個人の趣味?」

「性癖?」

「本能?」

「とにかく、人から見たら変態でも、二人の同意さえ出来ていればだな…」







…すみません、先生。早退していいですか…。




< 49 / 75 >

この作品をシェア

pagetop