アイサツはビンタ!
さて、どうすると言われてもな。

「別に用もないし、このまま帰る。途中羽山とゲーセンでも寄るかな」

俺は窓を開け、んーっ、と伸びをした。

俺の席は廊下側の窓際、前から三番目。

比較的前方なのが気に入らないが、窓際というのは悪くないポジションだと思っている。

壁に背中を預け、窓から顔だけ出して廊下の様子を見る。

よその教室からも、ゾロゾロと生徒が出てきている。

みんなこれから部活に向かったり、あるいは俺みたいに帰宅する生徒達なのだろう。

そんな中。

「お?」

俺は一人の女生徒が近づいてきている事に気づいた。

その女生徒は、俺が顔を出している窓の際に肘を置き。

「ゆきちゃん!8組だったんだねー!」

俺の後ろの席の宗方とキャッキャと話し始めた。

…小娘と知り合いか。

生意気な宗方と知り合いという時点で、この女生徒も一筋縄ではいかないのは、容易に想像できる。

俺も伊達に宗方と一年過ごしていた訳じゃない。

女生徒に危険な匂いを感じ、席から離れようとするが。

「あ、お嬢、これ、小田桐卓也君。私の友達ー」

宗方は俺の肩を叩き、『これ』呼ばわりで女生徒に紹介した。


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