アイサツはビンタ!
「なっ…!!」

お嬢の顔が、一気に真っ赤になる。

…これも失言だった。

お嬢は、俺と二人きりだったからこそ、素直に俺に謝る事ができたのだろう。

きっと、しおらしい自分を他人に見せるのは恥ずかしかったのだろう。

それなのに、頭に血が昇った俺は、それを宗方や羽山の前で暴露してしまった。

当然。

「っっっっっっ!!!!!」

ばちぃぃいぃいぃんっ!!と。

多分俺が食らった中では最大級の威力のビンタが炸裂した。

その威力によろめき、尻餅をつく。

「っっってぇなっ!!!!」

それでも怒り冷めやらず、怒鳴る俺。

「……っ!」

お嬢は驚いた顔をしていた。

今まで俺は、ビンタを受けた後はお嬢にすぐ白旗を振っていた。

お嬢もビンタすれば、俺は折れてくれると思っていたのだろう。

だけど今日の俺は折れない、止まらない。

「何でもかんでも暴力振るえば解決すると思ってんな!!凶暴女っ!!」

「っっっ…」

じわっ、と。

お嬢の瞳に涙が浮かんだ。

「い…いくらでもビンタしろって言ってくれたのにっ!!!!!」


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