アイサツはビンタ!
階段を下り、一階の下駄箱へ。

靴に履き替え、両手をポケットに突っ込んでダラダラ歩く。

校外の売店は、歩いて10分くらいのところにある。

「あっちーな…」

いよいよ夏も本番が近づいてきたのだろうか。

太陽が傾きかけてきたというのに、まだ気合を入れて照らしつけてくる。

「で」

俺は顔だけを後ろに向けた。

「お前何しにきたんだ」

…そこには、3メートルほど距離を置いてついてくるお嬢の姿があった。

「追加頼まれたの。ジュース一人二本ずつだって」

「はあ!?」

「一人じゃジュース8本は重いでしょ?だからついてきてあげたの」

最後に、嫌々ね、と付け加える憎たらしいちびっ子女子高生。

それがむかついて、俺は無視して歩き始めた。

…わかってんだって。

どうせ宗方の策略だ。

アイツこういう策謀は得意そうだもんな。

今度から小娘ってあだ名やめて、諸葛亮孔明って呼んでやる。

ほんと、どいつもこいつもお節介ばっかりだ。

お嬢もその程度の策略気づけよな。

何まんまとついてきてんだ。

色んな事にムカムカしながら、俺はひたすら歩いた。

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