アイサツはビンタ!
俺はのけ反った体勢のまま、その女生徒と目を合わせた。

…いや、できれば合わせたくなかったのだが。

何故ならその女生徒は宗方に紹介されたばかりの俺を、フクロウみたいな真ん丸な目で見ていたからである。

愛嬌のある目だと思って騙されてはいけない。

フクロウはあの目でどんな暗闇の中でも獲物を見つけ出し、確実に鋭い爪で捕獲する。

俺は直感した。

この女の目は、確実にそういう猛禽類の目だ。

「小田桐、卓也君、ねえ」

「……」

女生徒は、実にイヤァ~な感じの笑みを浮かべ、その後すぐに。

「!」

ペチッ、と。

俺の額を平手で軽く叩いた。

「私、平井直美ね、よろしく~」

ポニーテール、ちびっ子、人懐っこい笑顔。

とりあえず男が好みそうな条件を三つほど兼ね備えたその女…平井は、俺の額を何度もペチペチと叩きながら、何やら嬉しげ。

「おぉ?」

何故か宗方までが、嬉しげな声を上げた。

「よかったねー卓也君。お嬢に気に入られたみたいよー?」

何を根拠に言ってるんだ、それは。

もしかして、この、実の詰まったスイカの判別みたいな、額を叩く行為の事か?

「お嬢はスキンシップ好きだもんねー?」

「ねー?」

二人だけで勝手に納得しながら、宗方と平井は笑っていた。

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