アイサツはビンタ!
な、成程。

道理でお泊まりだー胸の大きさだーって話題には、宗方が無口になる訳だ。

「付き合ってたら、普通だろ?」

いやまぁ、そうかもしれないが。

そういう事はこういう場で言うんじゃないっ。

羽山はこういうとこ、デリカシーないよなぁ。





羽山と宗方は、先に帰っていった。

宗方の方が恥ずかしくなって、帰ろう帰ろうと羽山に駄々をこねたのだ。

そりゃまあみんなの前であんなん言われたら居づらいよなぁ。

「羽山の奴、もっと気ぃきかせてやればいいのに」

教室の机の上に座り、俺は溜息をつく。

「そうだねぇ、ちょっとさっきのは可哀相かな」

お嬢が苦笑いする。

「でも…」

彼女は、ほぅっ、と、吐息を漏らしながら呟いた。

「いいよねぇ、羽山君とゆきちゃん。夏休みも、ずーっと一緒に過ごすんだろうねぇ」

その言葉には、

『私にもそういう相手現れないかなぁ』

なんてニュアンスが込められているように聞こえた。

「作ればいいんじゃね?彼氏」

俺は脚をブランブランさせながら言った。

お嬢は、凶暴な性格はともかく、外見的にはかなりレベル高いと思う。

小柄だし、少し茶色がかった髪の毛も柔らかそうで綺麗だし、笑うと目がなくなって可愛いし。

「男から見れば、好かれるタイプだと思うけど?」

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