アイサツはビンタ!
うぐ、と。

俺は喉に詰まるような声を出してしまった。

「ま、まぁ…お嬢がへこんでるのは、キャラに合わんしな…」

視線をそらしてそう言うと。

「…ありがと」

お嬢は机にうつ伏せになったまま、横を向いて、俺を見ながら微笑んだ。

…くそ…強烈に可愛いな、それ…。

お嬢の視線に困って、俺はまた目をそらす。

…折しも、いつぞやのように教室に二人きりだ。

「そ、そろそろ帰るか。また妙な噂立てられたら困るし」

俺は鞄を持って立ち上がる。

と。

「いいじゃん、別に」

少し小さめの声で、お嬢が言った。

い、いいじゃんって、お前…。

「私は、別に困らないけど?」

試すような、お嬢の視線が俺に向けられる。

迷惑なら帰れば?と。

お嬢の視線が訴えていた。

…お嬢には、勝てない。

いつものツンモードの時のビンタにも勝てないが、何が一番勝てないって…。

この、デレモードの時の可愛さは、凶悪すぎる…。


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