アイサツはビンタ!
まるで金縛りにあったみたいに動けなくなる俺。

そんな俺を見て、クスクスと笑って。

「嘘だよ」

お嬢は立ち上がった。

「私と付き合ったりしたら、毎日ビンタだよ?卓也君それじゃあ困るもんねー」

鞄を手に取り、さっさと教室から出て行くお嬢。

その姿を見ながら。

「お前はどうなんだ?」

つい。

俺はお嬢に言ってしまっていた。

「え…?」

立ち止まり、お嬢は振り返る。

「お前はどう思ってるんだ?」

俺はもう一度繰り返す。

毎日ビンタされたら俺が困るだろうから、とか、みんなは自分の事気の強い女だと思っているだろう、とか。

お嬢の話は、全部他人の話だ。

「お前自身はどう思ってるんだ?」

それは。










…言い換えれば、『俺の事好きか?』という質問と同じだった。









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