アイサツはビンタ!
「お、女の子発見」

宗方、お嬢の二人と話していると、羽山が近寄ってきた。

こいつの女に対する嗅覚は人一倍だ。

ちょっと、お嬢と宗方のハンカチでもシャッフルして渡してみるか。

コイツなら、嗅ぎ当てられるかもしれない。

「なになに?こっちの可愛い子は?」

「平井直美っつーんだと。どこのクラスだ?」

お嬢に訊く。

「7組、隣だよー」

そう言ってお嬢は羽山と握手した。

…何だ、羽山のデコはペチッとしねえのな。

「ところで帰ろうぜ小田桐ー。もう用事ないんだろー?」

羽山が自分の鞄をブラブラさせながら言う。

「そうするか」

俺も鞄を持って立ち上がる。

「腹減ったなー、どっかで飯でも食って帰らねえ?」

「いいな、コンビニでも寄って何か買って食う?」

言いながら教室を出て廊下を歩く。

「駅前のコンビニでいいだろ。あそこなら近いし」

「いいね、私サンドイッチがいい」

「俺ぁおにぎりのがいいな」

「私ポテチが食べたい」

ああ、ポテチね、まぁ、それはいい。

それより。

「……」

俺と羽山は振り向いた。

お嬢に宗方、お前ら何ついてきてんだ?

「だって、ご飯食べて帰るんでしょー?」


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