アイサツはビンタ!
最近の女の子ってのは、アレかね。

知り合ったばかりの相手にいきなりメシをオゴってもらうような教育を受けてるのかね。

そんな事を思いながら、駅前のコンビニで色々と買い込む。

コンビニの袋を持って駅のベンチまで歩いていくと。

「おー、ご苦労ー!」

お嬢、宗方、羽山の三人が待っていた。

ジャンケンで負けた奴がオゴリで買い出しに行って来る、という話になったのだ。

まぁ、俺がまんまと負けた訳だが。

それにしたって、ジャンケンしたのが俺と羽山だけってのは不公平にも程がある。

「小さいこと言わないの。男でしょー?」

そう言いながら袋の中を探るお嬢は、あだ名に似合わぬ意地汚さだ。

「卓也君はいつも電車通学してんの?」

メロンパンを見つけ出し、パクッと口にしながらお嬢が言った。

「ああ」

俺もおにぎり…具はツナマヨネーズな…をかじりながら頷いた。

俺と羽山はいつも5駅先から電車に乗り、この駅から学校まで歩いている。

うちの学校は何かの嫌がらせのように急な坂道の上にあるので、羽山みたいな金持ち学生は、たまにタクシーで駅から通学というナメた真似をする。

俺も便乗する事があるのであまり文句は言えないが。

「大変だねー、私とお嬢は近所だからいいよね」

宗方がポテチをサクサク言わせながら笑う。

お嬢と宗方は中学も近所だったので、電車通学なんてした事ないらしい。

朝のラッシュアワーを知らずに過ごしているとは、コイツら何かバチが当たるべきだ。


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