血よりも愛すべき最愛


『彼女』に見つめられるだけで――いや、『彼女』の“顔”を見て絶命出来ることに歓喜していたのだった。


終わることのない繰り返し。その女を抱けば死ぬ、と噂が立つのは早く、いったいどんな女なのかと『彼女』の顔を見たものが、すぐさま求愛するのだから、『彼女』は夜もろくに眠れずにいた。


扉に鍵をつけようとも、ハンマーで壊されてしまえば意味はない。


凶器を持とうが『彼女』を愛した男は決してそれを、『彼女』に向けることはないが――


「娘に手を出さないでっ」


今までと同じ、母親の制止。ああ、だから、今までと違う今日は――運がなかったと言うべきか。


制止ではなく邪魔と見られた母親の末路。


頭を、割られた。


目の前で行われた撲殺。男は『彼女』の涙を見、すぐさま自殺。


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