血よりも愛すべき最愛


壊れてしまったならば、直せば良い。


皮膚が爛れたならば、剥いでしまえ。瞼が赤く腫れ上がるならば切除しよう。頬肉が焼け溶け下がるならば吊り上げよう。


常軌を逸した愛は、狂気の沙汰となる。


明け方、『手術』を行なった男の通報により、悪夢は終わる。


『死んでも償われないことをしてしまった』との遺書を残し、包丁で頸動脈を切りし男の死体の横、血まみれの『彼女』がいた。


三体の死体と一体の死に体。すぐさま『彼女』は救急搬送されるが、顔の右半分は元には戻らない。


ただの火傷であれば、まだ“見れる顔”であっただろう。


創作の化物でも、ここまで酷くはない。

上瞼が腐った果実のように垂れ、皮は錆色に染まり、頬肉はピンで止められたように張っている。


縫合した後の継ぎ接ぎから、これではまるで、化物の皮を右側に移植したようであった。


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