血よりも愛すべき最愛
道を塞ぐ障害は、マスケット銃を構えた自警団。一瞥しただけで、男はもう目を向けずにいた。
「見目から『夜空』と僕を呼び、本性を知れば『犯罪者』、真価を悟れば『殺人鬼』。これ総じて――『化物』と君らは僕を称するか」
まったくもって、と『夜空』は肩を震わせ――、撃たれる。
轟く銃声。闇夜の喧騒で、カラスが飛び立つ。
硝煙立ち込める静寂を肌から感じた時、自警団たちが見たのは横たわる男。
干からびた娼婦の横で。血を流すさまは、誰が見ても死を連想させ――